Vol. 59 2023年 秋の号

この号のご案内
1. 会⻑挨拶|2. 秋の例会のお知らせ|3. 国際交流基⾦からのお知らせ|4. 会計からのお知らせ |5. 領事館より|6. 外務⼤⾂表彰授賞式のご報告 |7. 春の例会より |8. FLANC conferenceのお知らせ |9. 日本語能力試験 |10. 私の学校でこんなことが|11. 先生紹介|12.勉強会のお知らせ|13.ベイエリアで日本語を教える(後半)|

1. 会長挨拶 伊藤潤子

Fall-school

皆様、お忙しい毎日をお過ごしのことと存じますが、お元気でいらっしゃいますか。夏休みを満喫し、しっかり英気を養われましたでしょうか。

当会は、今年の秋、三つのオンラインイベント(秋の例会、レベル別の勉強会、FLANC秋季学会での日本語発表)を企画しております。イベントで、皆様にお目にかかれるのを役員一同楽しみにしております。

さて、皆様に役員交代のお知らせがあります。今年度より、ウェブ担当をローザ・パークス小学校の井上由佳先生に、ニュースレター編集をサンノゼ州立大学の岩田真奈美先生とホーリン薫先生にお願いすることになりました。(井上先生は学園・小中学校代表と兼任になります。) 二年間どうぞ宜しくお願い致します。そして、長い間役員としてご活躍いただいた今川香代子先生、宮本百合子先生、森山なな子先生、大変お疲れ様でした。

今年の秋の例会は「区別化授業:学習者のニーズを考慮した授業」と題して、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の知念聖美先生に発表していただく予定です。奮ってご参加ください。

 

2. 秋の例会のお知らせ

今年度の秋の例会は 10月 7日(土曜日) にオンラインにて開催されます。会員の方は、事前登録の上、無料でご参加いただけます。非会員の方は、当会のウェブサイト (https://ncjta.org) にて、まず会員になっていただく必要があります。

秋の例会の事前登録は以下のサイトで行えます。10月3日(火)までにご登録ください。

レジストレーション: https://forms.gle/piJGNgqyaMPJxaAh8 

course

日時: 10/7(土)1- 4 pm
(PDT, via Zoom)

*Zoom リンクは10月5日(木)にメールでお送りします。

テーマ:「区別化授業:学習者のニーズを考慮した授業」(Differentiated Instruction: Accommodating the needs of diverse learners)

講師:知念聖美先生(カリフォルニア州立大学ロングビーチ校)

参加費:無料(会員)

REGISTER

スケジュール (tentative):

1:00 pm - 1:05 pm  Japan Foundationからのお知らせ

1:05 pm - 2:25 pm セッション1(80分)

2:25 pm - 2:35 pm 休憩

2:35 pm - 3:55 pm   セッション2(80分)

3:55 pm - 4:00 pm  NCJTAからのお知らせ

発表要旨:

皆さんのクラスには、どのような学習者がいるでしょうか。教えている環境は様々だと思いますが、学習者の文化背景、言語背景、日本語運用能力、学習動機などが大きく異なる学習者が一つのクラスに混在することは珍しくないでしょう。そのような場合、一つの同じ学習目標や学習活動で全員を効果的に指導するのは決して容易なことではなく、一斉授業では限界があります。学習者一人一人のニーズを把握し、そのニーズを考慮して指導することを「区別化授業」と言います。多様性が重視される現在、教師が臨機応変に学習者のニーズに対応することが大切ではないでしょうか。このセッションでは、多様な学習者が混在するクラスで、それぞれの学習者の力をできる限り伸ばしてあげられる区別化授業のアプローチについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 

知念聖美先生より会員の皆様へのメッセージ:

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で教え始めて13年が経ちました。30年前に、南カリフォルニアの継承日本語学校で教え始めたのを機に、日本語教育の世界に入りました。それが「継承日本語とは何か」を模索するきっかけとなり、今は主に継承日本語話者のアイデンティティに研究の焦点を当てています。この夏数年ぶりに日本に行き、親戚、友人、知人と再会して、人と繋がることの大切さを実感しました。お招きいただいた秋の研修会を「繋がる」の観点から、皆さんとの和気あいあいとした実りある会話を楽しみながら、参加者全員が活発な意見交換のできる場にしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 
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3. 国際交流基⾦からのお知らせ

Japan Foundation

Konnichiwa from the Japan Foundation, Los Angeles! We have a few exciting updates for fall. One of those is that our highly anticipated Keisho Nihongo website (www.keishonihongo.org) has officially been launched! If you haven’t checked it out yet, please do so – it was created to fill the need of Keisho Nihongo teachers and parents across the US and includes a forum for any questions or concerns you may have about Keisho Nihongo, whether that is regarding textbooks, curriculum building, or the best places to find classes for your child(ren). Please feel free to utilize the various resources available and further grow the community.

Another exciting update is we have our newest exhibit, “Expression of Life: The World of Self-Taught Artists with Disabilities,” installed at our office. This exhibit explores art by various disabled Japanese artists as well as their perspectives on life. Come and join us at this vibrant exhibit!  As always, exhibits are free and open to the public, Monday through Saturday, from noon until 6pm with the exception of national holidays.  Please visit if you happen to be in the area!

Finally, we have our on-going e-exhibit, “Doors to Arts of Japan,” showcasing various aspects of Japanese culture and history with curated videos produced by our headquarters in Japan! These videos are posted weekly on Wednesdays and are available in both English and Japanese, should anyone wish to use some of them as listening practice in class or for homework in higher level language classes. The introductions created and posted by the Japan Foundation, Los Angeles can be found on our website (Japan Foundation Los Angeles | (jflalc.org)) and the related videos are linked in the description on YouTube.

Other plans are in the works for future events, so please keep an eye on our Future Event Page as we continue to work to host and support more exciting events and exhibits! Additionally, please keep an eye out starting in late January for our updated grant applications for all four grants we offer for the next fiscal year – we look forward to your applications!

(Japan Foundation, Los Angeles:  Megan Murata)

 

4. 会計からのお知らせ

NCJTA 会計からのご報告

NCJTAの年会費は、一般16ドル、学生6ドルです。2023年度の会費(2023年1月1日から12月31日まで有効)を未納の方、もしくは新会員の方はオンライン(https://ncjta.org/membership.html#howto)で申し込みをお願いします。なお、AATJとNCJTAのDual Membershipになられた方も、オンラインで申し込みの上、AAT J会費納入のレシートを会計担当 (ncjta21@gmail.com)に転送をお願いします。ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。また、お支払いに関してご質問のある方は会計担当へご連絡ください。

(NCJTA会計: 矢幡ペターソン和美・望月真紀子)

写真提供: 武内由美先生 (カリフォルニア大学 デービス校)

 

5. 領事館より

在サンフランシスコ日本国総領事館からのお知らせ

JETプログラムの募集が、9月から始まる予定です。日本語を学ぶ多くの学生さんのご応募をお待ちしております。また、第18回ミルブレー日本文化祭りが、10月1日10:30~16:30に、Civic Center Plazaで行われます。当館もブースの出展を行う予定ですので、是非遊びにいらしてください。詳細に関しては、下記のリンクをご覧ください。

18th Annual Millbrae Japanese Culture Festival: https://www.japaneseculturefest-millbrae.org/

JET Program: https://jetprogramusa.org/

(在サンフランシスコ日本国総領事館 : 石井 由実子)

 

6. 外務⼤⾂表彰授賞式のご報告

北加日本語教師会の50年に及ぶ功績が讃えられ、去る3月27日、在サンフランシスコ日本国総領事公邸において外務大臣表彰授賞式が行われました。授賞式では、野口総領事からご祝辞を賜り、伊藤会長が受賞の言葉を述べました。北加日本語教師会のこれまでの経緯や歴史、また歴代の会長及び先生方のご尽力と貢献を説明の上、表彰への感謝及び、北加日本語教師会の更なる発展への抱負をお伝えしました。関連記事:「13. ベイエリアで日本語を教える(後半)」

在サンフランシスコ日本国総領事館のホームページに掲載された記事と写真は、こちらのリンクからご覧ください。⭐

https://www.sf.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/23_0327a.html

 

(NCJTA会計:
矢幡ペターソン和美)

Award_Hyoushou-jo

7. 春の例会より

北加日本語教師会2023年春の例会報告

2023年4月22日(土)午後1時〜4時の3時間、北加日本語教師会春の例会がZoom上で行われました。

「パンデミックを乗り越えて :パフォーマンス・アセスメントと効果的なフィードバックを通しての学習指導」をテーマに、齋藤アボット佳子先生 (California State University, Monterey Bay)がパフォーマンス・アセスメントをどうデザインしたらいいのか、どのようにフィードバックを行ったらより効果的なのか、アセスメントを作成する過程で教師が考慮すべきことは何かについて高校や大学レベルで使われている例を用いながら発表してくださいました。

アセスメントを作る時はゴールを明確にし、どのような状況で何ができるようになれば良いのかを考えてデザインすること、フォーマティブアセスメント(形成的評価)の重要性を再確認し、ルーブリックはT.A.L.K Scoresの例などを参考にしてみる等、アイデアや例が盛り沢山の内容でした。

ブレイクアウトルームでのディスカッションの機会も設けられ、「学生のパフォーマンスにパンデミックの影響が見られたか」や「パフォーマンス・アセスメントを取り入れる上で、どんなチャレンジがあるか」などについても参加者が活発に話し合いを行いました。

例会の資料は当会のウェブサイトでもご覧いただけます。https://ncjta.org/handouts/ 

(NCJTA書記:ジマーマン美子)

 

8. FLANC Conferenceのお知らせ

Foreign Language Association of Northern California (FLANC) 秋季学会のお知らせ

2023年度 FLANC秋季学会は、11月4日(土)に、人数限定での対面形式とZoomによるライブストリーミングのハイブリッド形式で開催いたします。今年度の基調講演は、ロスガトス高校の常勤講師を2018年に退職されたアン・ジョーダン(Ann Jordan)先生に基調講演をお願いいたしました。日本語関連の発表が午前、午後ともに2セッションずつ、計4セッションと盛り沢山の内容になっております。NCJTA会員の皆様には、ぜひとも奮ってオンラインでのご出席をお願いいたします。(FLANC 連絡員:南 雅彦)

 
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FLANC Fall Conference 2023

日時:11月4日(土)

場所: ハイブリッド(オンライン参加)

 

参加申し込み:
https://www.flanc.net/2023-registration-membership

[注] Select Optionsの上から2番目にあるVirtual (Dual Membership) $10を選択してください。締め切りは10月4日となっています。10月5日以降に申し込むと登録料が$65となりますのでご注意ください。

学会発表スケジュール: https://www.flanc.net/2023-conference-agenda 

基調講演: 午前11時から、アン・ジョーダン先生が「Getting Students Started on the Road to Cultural Competency, the Journey of a Lifetime」と題して、一時間の基調講演をなさいます。(ジョーダン先生のご経歴:https://www.flanc.net/2023-keynote-speaker)

日本語発表: 午前9時のUC Davisの小山先生を皮切りに、午前10時にはインディアナ州のEarlham CollegeからCao先生、ジョーダン先生の基調講演を挟んで、午後1時からはメイン州のColby Collegeから高橋先生、最後の午後2時からはサンフランシスコ州立大学の南が締めくくります。

 

9.日本語能力試験 (Japanese Language Proficiency Test)のお知らせ

習得した日本語能力を客観的に測定し、これを公的に認定する制度である『日本語能力試験(JLPT)』がサンフランシスコ州立大学で12月3日 (日) に実施されます。昨年は、コロナ禍のため中断していたJLPTが3年ぶりの開催となりましたが、試験監督としてご協力いただいた経験豊富な日本語の先生の皆様にはたいへんお世話になりました。

サンフランシスコ会場の受験者定員は550名で全米17会場でも2番目の規模です。今年度もすでに定員を超えており、活況を呈しています。また、特別措置を必要とする受験者も例年数名おります。このように大規模になりますと、NCJTA会員の先生方には試験監督をお願いしなければなりません。本年も試験監督としてご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。

(サンフランシスコ州立大学 南 雅彦)

10. 私の学校でこんなことが

コロナ禍後の初の訪日旅行

ワイオミング州 ケリーウォルシュ高校 スロツビー薫

明治神宮にて。町を出発してからホテルチェックインまで30時間かかったにも関わらず、翌日の観光初日は元気いっぱい。

 11回目となる生徒たちとの訪日旅行が無事に終了しました。コロナ禍後の初めての旅行なので、現役高校生だけでなく、卒業生やその家族も参加可能にしたところ、42名の大きい団体旅行となりました。

11日間の旅行の中で、東京、京都、奈良、大阪での観光や、浅草では「飴作り」の体験もできましたが、高校生たちにとっては、高校訪問と2泊のホームステイが一番印象深かったようです。

「日本の生徒はシャイだと聞いていたから、こんなにあたたかく迎えてもらって、そして彼らとの交流が楽しいなんて想像していなかった」(ある生徒のコメント)

 「お互いの生徒たちがこれだけ興味を持って、楽しく交流しているのを見て、『こういう生徒たちを見たくて教師になったんだ』と思い出させてもらいました」(ホスト高校の先生)

日本に多少は慣れたからでしょうか、旅行の後半では、スマートフォンとICカードを上手に使いながら、グループで自由行動を楽しんでいました。アメリカ国内の学校の旅行では自由行動がないと生徒たちから聞いていたので、生徒たちにとっては海外の日本でそれができるのも、「安全」な国と、困っている生徒をいつも助けてくれる「優しい人々」のおかげだな、と感謝でいっぱいです。

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浅草の飴細工工房にて。うさぎを作ったはずなのですが、意に反して「ピカチュウ」となっている生徒もおりましたが、楽しそうでした。

 

初めての日本旅行引率

カリフォルニア州 ベラビスタ高校 森山なな子

この夏、生徒(卒業生)たちと一緒に10日間の日本旅行へ行ってきました。もともとは2020年に予定されていたのですが、コロナの影響で延長になり、今年やっと実現することができました。ツアー会社が用意したスケジュールは、前半に浅草や皇居、お台場などの東京観光、そして鎌倉、箱根を訪れ、後半には京都、大阪、奈良、広島、最後は姫路城に行くという、ちょっとハードでしたが充実した内容でした。幸いなことに、大きなトラブルや雨に降られることもなく、無事に6月下旬に帰国しました。

行くところ行くところで「食べる」ことに集中する人、その土地特有のものや好きなアニメやゲームのグッズを「買う」人、それぞれの形で参加者みんな思いっきり日本を楽しんでいたようです。また日本に行きたい、もっと日本語の勉強をがんばりたい、現地の日本人と交流できたのが一番の思い出となった、などの感想がたくさん聞け、とてもうれしくなりました。今回の旅行の経験を活かし、来年の夏は別のルートで挑戦してみたいと考えています。

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大阪道頓堀にて食べ歩き

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伏見稲荷大社

 

Aurora National Japanese Speech Competition

カリフォルニア州デービス高校卒 カリフォルニア大学バークレー校 1年Aniruddh Mahajan 

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Earlier this year, I was given the opportunity to participate in a regional Japanese Speech Competition. Picking a topic was simple. It was an aspect of Japanese culture that I found fascinating: hanakotoba, or the language of flowers. Working at a plant nursery instilled in me a passion for gardening, and after learning about hanakotoba, I tried to apply it to both my garden and in gifts to friends and family.

Over the following weeks, I kept refining my script and making it sound as natural as possible. Eventually, the date of the regional competition arrived. Although I was nervous, I took a deep breath and steadied myself, and performed my speech through Zoom. At the conclusion of the contest, I won first prize! This meant I qualified for the Aurora National Japanese Speech Competition, which I eagerly began preparing for. I practiced my speech out loud as I biked to school, did homework, or planted flowers in my garden.

Months of work eventually culminated in the national competition held over Zoom in June. While the speech went smoothly, the questions were much more difficult, but I continued nevertheless and waited apprehensively for the results. In the end, I placed second! I felt proud that my hard work paid off and that I was able to represent my school, its Japanese program, and my sensei. As a result of the national competition, I was able to participate in an international tournament for Japanese speaking. My interview will take place next month. And while the stakes may be much higher, I am endlessly grateful to those who encouraged me to participate in my first Japanese Speech competition, as well as my sensei, who supported me the entire way. 

11. 先生紹介

マタ眞奈美先生

🌟 お名前を教えてください。

マタ眞奈美と申します。

🌟 教えている学校名、町を教えて下さい。

ラスベガスの公立高校、Ed W. Clark High School で教えています。

🌟 日本語教師はいつから?

1998年ラスベガスに移ってから、ラスベガス学園(補習校)、UNLV (University of Nevada Las Vegas) を経て2004年から今の職場に勤めています。

🌟 ご趣味は?

ラスベガスの近郊 Red Rock、Mt. Charlstonでハイキングやスクランブリング(岩登り)をはじめました。Lake Meadでカイヤックも経験しましたが、水不足で禁止になってしまいとても残念です。

🌟 出身地は?

岐阜県、東濃地方の小さな町、山岡町ですが、誰も知らないので、美濃焼で知られている多治見市だといつも言っています。

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🌟 アメリカ/カリフォルニアに来てから何年ですか。 

1991年大学院生としてミズリー州に来てから30年以上になります。

🌟 仕事について、何か一言お願いします。

高校生に毎日接しているためか、気持ちだけはいつまでも若いつもりでいますが、年々体力の衰えを感じながら仕事を続けています。生徒にはワークシートを提出するときには、裏表を確認し、自分の物を一番上にして、アルファベット順に回収することなど、アメリカの高校生には今まで気にも掛けなかったことを細かく言われて迷惑だと思われていますが、これだけ長くアメリカにいても「日本」が教室で出てしまいます。けれども、生徒達には日本が好きになって生涯日本について色々学んでくれるようにと希望を持っています。

🌟 会員のみなさんへのメッセージがあればどうぞ。

NCJTA会員の皆さんの中にはAP Readingなどでお話する機会があった先生方もいらっしゃってとても親近感を感じています。また日本語教育にとても熱心な方々の集まりで私のように州外の教師にもワークショップなど貴重な機会を与えて下さって本当に感謝しています。そして、今回はニュースレターに私の事を載せて頂いてとても嬉しく思います。今後もNCJTAが日本語教育のリーダーとなって益々発展していくことを心より願っています。

 

曹 宇寧先生

🌟 お名前を教えてください。

タラニーです。本名は「曹 宇寧 (ソー ウネー)ですが、アメリカでは「タラニー」を使っております。

🌟 教えている学校名、町を教えて下さい。

8月からインディアナ州リッチモンド市のEarlham Collegeで日本語の講師を務めることになりました。

🌟 日本語教師はいつから?

正式には今年からですが、大学院生の頃にはスタンフォード大学で日本語の授業のティーチングアシスタントとして日本語を教えたことがあります。

🌟 ご趣味は?

合気道、ピアノ(初心者)、ゴルフ(初心者)、言語学習などです。

🌟 出身地は?

私は中国人で、出身は天津です。いつも「天津甘栗の天津」と紹介しております。

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🌟 アメリカ/カリフォルニアに来てから何年ですか。 

アメリカに来てから9年目となります。烏兎怱々ですね。

🌟 仕事について、何か一言お願いします。

今後も一層精進し、一人前の日本語の先生になれるよう頑張って参ります。

🌟 会員のみなさんへのメッセージがあればどうぞ。

これまで大変お世話になり、ありがとうございました。またオンライン上でお目にかかる機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

12. 今年度勉強会のお知らせ

学園・小中学校・高校レベル

日時: 11月5日 (日)  10:00 am 〜10:45 am (PST)
トピック:「贈る言葉」後任、もしくは1年目の自分にかけたいアドバイス

日時: 2月4日 (日) 10:00 am 〜10:45 am (PST)
トピック:「チャットGPT」(仮)

(学園・小中学校代表: 井上由佳)

(高校代表: スロツビー薫)

短大・大学レベル

日時: 10月29日(日) 10:00 am 〜11:00 am (PDT)

トピック:「AIと日本語教育の共存:Challenges and Rewards」(仮)

日時: 2月11日(日) 10:00 am〜11:00 am (PST)

トピック: (未定)

(短大・大学代表: 増山和恵 永田憲子)

13. ベイエリアで日本語を教える(後編)

College of Marin 清水真佐子  

2012年10月 総領事表彰式 役員一同: 盾を持っている方が当時のグラント会長 (左から二人目は伊藤会長)

「日本人は助け合わない 」

 ベイエリアでアジア系移民社会を調査する社会学者の話を聞いたことが あります。中国人、ベトナム人、フィリピン人などには、同じ国出身というそれだけの理由で、力を貸し合う相互援助の仕組みがあります。それに比べて、日本人社会には助け合いが少ないというのです。その背景には、戦争や貧困などで母国を出ざるを得なかった他のグルー プに比べ、日本人は結婚や仕事などの個人的な理由で自ら選択して渡米している事情が考えられます。家族単位ではなく個人での移住が多いので、団体として支援する必要が低く、助け合いの繋がりが薄いとの考察でした。  

 それを聞いた新一世が、渡米後の「助け合いのない」体験を口々に語ったのには驚きました。というのは、私自身はアメリカに来てから、日本人コミュニティにいつも助けられてきたからです。  

「遠くの親戚より」

 1990年代半ば、東京からサンフランシスコに移り住んだ時、私には 知り合いが3人しかいませんでした。ところが、日米関係にとって歴史の長いベイエリアには、母校の同窓会がありました。「遠くの親戚より近くの三田会」をモットーに1960年前から続くコミュニティのおかげで、世代を超えた知人友人に恵まれました。渡米前には予想もしていなかった 幸運です。会えば思い切り日本語で話し、お互いに学び合います。それぞれの得意を活かし、決して一人ではできない地域貢献や大掛かりな催しを実現し楽しい交わりを続けてきました。 

 「北カリフォルニア日本語教師会」の存在を知ったのも、三田会の先輩が「勉強になるから」と誘ってくださったのがきっかけです。2008年、 当時のグラント会長はじめ役員の皆さんが快く迎えてくださいました。新米教師の私は、教師会のニュースレターや勉強会はもちろんのこと、役員会後の雑談にさえ学ぶことばかりでした。  

 後にバークレーで教えた時、役員時代にご一緒したことのある先生方が何かと目をかけてくださいました。いつでも授業参観をさせてくださり、虎の巻を惜しげなくシェアしてくださいました。そうやって学んだ全てが私の宝物になりました。テック操作にまごついていた私を見て、「清水先生、『ガラパゴス』になっちゃいますよ」と忠告してくださったことも。今でも折々肝に銘じています。  

 まだ仕事に慣れていなかった頃、夕方遅く挨拶して帰ろうとしたら、オフィ スの中から手招きして私を呼ぶ先生がいらっしゃいました。戸惑いながら入ってゆくと、何も言わずに微笑んで、机の引き出しからギラルディの小さなチョコレートを出し手渡してくださいました。いつも誰かに助けられてきました。ですから、私も誰かを励ます存在になりたいと念じています。そして、何よりも、私が絶え間なく仕事を続けることができたのは、教師会のネットワークのおかげに間違いありません。  

「レベルアップを目指し始まった教師会」  

 北カリフォルニア日本語教師会は、70年代に、サンフランシスコ州立大学の故三島先生を中心に教授法を勉強する集まりから始まりました。今でも、当時を知る先生方から、折に触れて「三島先生」のお名前が出ます。日本語教授法レベルアップを目指して学び合った集まりを「あたたかくも 厳しい充実した学びの会」「おかげで日本語を教えていなかったら決して会えなかった素晴らしい人々と知り合えた」と懐かしむ声は少なくありま せん。  

 80年代には、日本が「ジャパンアズナンバーワン」といわれる好景気を迎え、ベイエリアでの日本語への関心も高まりました。日本語プログラムは充実し、日本語教師求人が引も切らなかったそうです。教師を辞めていたところ、三島先生から直接求人を知らせる電話をもらったという話も聞きました。  

「学び合う伝統」

 ベテランの先生が口を揃えて「若い先生がどんどん育って、明るくていい時代だった」と教師会初期を振り返るのを聞くと、ベイエリアの日本語教育に果たす北カリフォルニア教師会の役目を考えずにはいられません。今でも、より良い教授法を探って学び合う伝統が続いています。お互いを思いやる幸せな関係の中で、会員はこれからも助け合って行くことでしょう。  

 そう考えると、私はお目にかかったことのない三島先生のことを、まるで近しい存在のように感じ、よく存じ上げているような気がすることがあります。一人の日本語教師のミッションとビジョンが現在まで脈々と引き継がれ、あたたかい助け合いの伝統が続いていることに、感謝する気持ちでいっぱいです。(終)

 
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